4月から始まった英語のレッスンはどんな様子なのでしょうか?1学期ごとにはお知らせしようと思ってはいたのですが、もう少しで2学期も終わりという時期になってしまい、大変申し訳なく思っております。
4月から始まったと言っても、さくら(4才児)組ときく(5才児)組のお子様方は、実際には2月から始まっていて、4月には多少の積み重ねがある訳です。ロイダ先生にレポートを日記風に書いて貰っていますし、私自身もできる限りレッスンに顔を出すようにしています。来年のことも考えなければなりませんので、この辺で少しずつ報告してみたいと思います。
幼稚園の宣伝のために闇雲に始めた訳ではありませんが、試行錯誤があり、考えているだけで何もしないよりはとにかく始めてみようという気持ちがあったことは確かです。始めてみないことには始まらない、多少の見切り発車は仕方がない、子どものためにはならないというネガティブな結論が出たら中止しようとは思っておりました。結論を出すのは早いのかもしれませんが,始めてよかった、来年以降も継続させたいと思っています。
すみれ組は、英会話教室に通っておられお子様は別ですが、英語のレッスンは全く初めてです。当然何をどうすればよいか全く分からないところから始めたわけです。見かねて園長も担任も、こう言っているんだよ、こうやるんだよ、と手を出し始めました。私は「手を出すな、放っておけ」と言いました。そして一言説明しました。「今は分からなくてもいい。そのうちに分かるようになる。そのうちに何となく分かるようになる。赤ちゃんと同じだよ。」
赤ちゃんに限りませんし言葉に限りませんが、人間は頭で覚えたことは忘れますが、体で覚えたことは忘れないのです。文化の習得、つまり生活習慣や知的な学習の基礎は9才までに体で習得することが重要だと思います。レッスンに参加さえしていれば、1日1回20分でも必ず分かるようになるのです。
どの学年もアルファベットの読み方や各々の発音(音価)、形の名前、色の名前、数字等を学びます。歌やカードも使います。ゲームも取り入れています。しかし、それは子ども達を飽きさせないためにご機嫌取りでやっているのではありません。評価のためなのです。ゲームが楽しめるかどうかを見ることは、今までに学習したことを習得しているかどうかを見ているのです。○×を付けて点数を出すだけが評価(テスト)ではないのです。
学習している内容は同じであっても、年少・年中・年長(すみれ・さくら・きく)では各々進度が違いますし、密度が違います。行為を表す動詞をカードで学びます。walk, run, jumpという言葉を習う時、カードには歩く・走る・ジャンプする絵が各々描いてあるのですが、きく・さくら組のお子さんは椅子に坐ったまま答えますが、すみれ組のお子さんは椅子から離れて、歩き出したり、走り出したり、ジャンプを始めるのです。子どもは体で学んでいることを見せつけられる思いがします。walkは歩く,runは走る、jumpはジャンプだと日本語で教えていたのでは、年齢にもよるでしょうが、こうはならないのではないかと思いますが、どうでしょうか。歩いている人の絵カードを見せられどういう行為をしているかを問われて、“walk”と答える前に、”walk”という行為を始めるのです。“walkという行為”が先にあって、“walkという音”がある、あるいは“行為と音”は一つのこと(ことば)の裏・表なのだとすれば、すみれさんは言語学習の本道を行っていると言えるのではないかとさえ思えるのです。
全員が年齢相応の発達しているかと言えば、そうではありません。1年くらい速い子もいれば、逆に1年位遅い子もいるものです。しかも、成長の速い遅いは、全体的の場合もあり、部分的の場合もあり、とにかく様々です。知的な側面の発達だけでなく、全体的にバランスの取れた発達を心がけて頂きたいと思います。
ちょっと脱線しました。申し上げたいことは、同じ条件の下で学んでも、同じように吸収されるわけではありませんので、習得の度合いも様々であるということです。しかし、ハッキリ言えることは、英語は誰でも習得できる、習得して当たり前だ、ということです。習得の遅い速いはあっても、それはただ、本当にただやるかやらないか、それだけのことです。英語の学習は、最初のうちは質より量だと思います。どれだけやるか、やり続けるか、ということです。どれだけ英語に浸ることができるかということです。
白鳩幼稚園では英語教育をやっていますと胸を張るつもりはありません。何故なら、「どんなことがあっても継続させるぞ」という決断はできても、私にはまだ10年後の英語教育の姿がはっきり見えてこないからです。今こういう状態ですと情報を公開しつつ、多くの方々のご支援を得ながら前進したいと願っている次第です。
6月6日のロイダ先生のレポートを紹介して終わりたいと思います。
「さくら組の生徒が驚くことに私と英語で会話をしたのです。彼は言いました。
“I am opening the door.”
彼がありったけの力で英語を話そうとしている姿を見てとても嬉しく思いました。そこで私は
“Where is your little brother?と尋ねました。彼は次のように応えたのです。
“He is walking outside.”
それから、きく組の3人のお嬢さんが言いました。
“We are happy..How are you?”
私はこれを聞いて、喜びで胸が一杯になりました。日本語の話せない私と一生懸命意思の疎通を図ろうとして、その為に最善を尽くしているのです。」
幼稚園便り 30 2005年12月6日 白鳩幼稚園
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